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[知性の探求] 第6回 虚偽の記憶
2006年01月27日(金) 05:36
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第6回 虚偽の記憶


幼い頃の様々な出来事を覚えていますか?小学校の入学式や家族との旅行、仲の良かった友達と遊んだ事を覚えていますか?私は正直記憶力は良い方ではないと思いますが、大学進学のために東京へやってきて3年、小学校や中学校はもちろんのことすでに高校のクラスメイトのほとんどの名前と顔を忘れてしまっています。
しかし、卒業アルバムを見たり、田舎に帰って風景を見たりすると突然様々な記憶が次々と湧き出て思い出されることがあります。こういうことがあると、脳の中に様々な記憶が鎖のように連なって存在しているように想像されます。
昔から記憶はカメラのフィルムやハードディスクなどのように、一つの風景がそのまま記憶されていると考えられていました。言葉や音などの記憶も同様です。しかし、最近の研究によってそうした記憶のとらえ方が間違っている事が分かってきました。
以下のサイトには記憶についての非常に驚くべき現象が紹介されています。

・参考サイト
超常現象の謎解き Step2

何かを思い出す時に、うまく思い出せなかったり思い出した事に自信が持てなかったりする事があることには納得してもらえると思います。しかしそれだけではなくて、驚くべき事に存在するはずのない記憶が思い出される事があるのです。しかも、思い出した本人はその記憶に確信を持っていることもあるのです。
上のサイトから一つ非常に分かりやすい実験の内容を引用します。
女学生2人が駅の待合室に入り、1人がベンチの上に大きな荷物を乗せた後、2人一緒になって時刻表を確認するために、荷物を置いたままその場所を離れました。

2人が離れている間に別の学生が1人、人目を避けるように荷物に近づき、中から何かを取り出して(実際には何も取っていません)コートの下に隠すフリをし、急いでそこから離れてしまいます。

やがて女学生は戻ってくると、「まあ、私のテープレコーダがなくなっているわ!」と叫びます。彼女はさらに、上司が彼女のためにそのテープレコーダを特別に貸してくれたこと、高価なものであることなどを泣きながら訴えます。

2人はその場に居合わせた目撃者たちに、犯行の様子を詳しく教えてくれるように訴え、多くの人は協力を申し出ました。

1週間後、保険代理人をよそおっていくつかの質問をし、一連の質問の最後に「テープレコーダは見ましたか」と尋ねました。
すると、目撃者の半数以上が実際には存在しなかったテープレコーダを見た覚えがあると答え、そう答えたほとんどの人が詳しく描写したのです。

「色はグレーだった」とか、「黒い色をしていた」とか、「ケースに入っていた」または「ケースには入っていなかった」、「アンテナが付いていた」など、実際には存在しなかったものを、本当に見たかのように詳しく生き生きと語ったのです。
『超常現象の謎解き』より
読んでいて少し気持ち悪くなってきました。目撃者達は嘘を言っているのでも適当に言っているのでも(おそらく)ないです。自分が見た記憶として自信を持って話しているのです。
他には、カウンセリングを受けた人達が存在しない幼い頃の性的虐待経験を"思い出す"という報告も驚くべきものです。そのような経験が本当にあったら忘れるはずがありません。当初は抑圧された記憶として、記憶の奥底に押し込められているのだと考えられていたようですが、後の研究によってこれらの記憶がこの人たちの頭の中で作り出されたものだということが分かったのです。
このような存在しない記憶が思い出されてしまう現象を虚偽の記憶といって、最近盛んに研究が行われています。

以下の論文にはこうした現象について詳しく書かれています。(鈴木宏昭先生は私が今学期まで講義を受けていた認知科学の先生です。)

・参考文献
認知の創発的性質 鈴木宏昭

これによると、私達は一枚絵のように記憶を保持しているのではなくて、それらを断片化して記憶しているようです。そして、それらの断片が相互作用して一つの記憶として認知されるのです。

何でこのような現象が起きるのか非常に興味深いです。記憶の断片をつなぎあわせるのはいいとして、関係ない断片までつなぎあわせる必要はないですよね。思い出せない記憶(というか存在しない記憶)は「分からない」と答えればいいわけなので。
私は、錯視の回に書いた内容に非常に似ていると思いました。つまり、盲点など実際には見えていない範囲を頭の中で補っているように、記憶の中の欠けている部分を無意識的に補ってしまっているのではないでしょうか。
先程の引用を例にすると、目撃者達は実際に犯行の様子を目撃しています。テープレコーダーを実際に見たかどうかは覚えていません。しかし、テープレコーダーが盗まれたのだという事実の記憶はあるわけです。つまり、テープレコーダーの視覚的情報だけが欠けてしまっていると脳が判断し、全く関係ない他の記憶から視覚的情報を引っ張ってくるのではないでしょうか。「質問に答えなければならない」という意識が無意識に働きかけて、このような記憶の構築を行ってしまうのではないでしょうか。

ちょっと考えてみるとこのような事は身の回りに頻繁に起こっているような気がします。
おばちゃん達の噂話はいつの間にか事実として語られるようになったりします。都市伝説もこの類かもしれません。
似顔絵捜査の信憑性は高いのでしょうか?あいまいにしか覚えていない犯人の特徴の細かい部分がいつの間にか補われてしまっているかもしれません。

非常に興味深いと同時に、ちょっと気持ち悪い内容の記事でした。あ~怖い。

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・参考文献
鈴木 宏昭:認知の創発的性質 生成性、冗長性、局所相互作用、開放性

・参考サイト
超常現象の謎解き

・参考リンク
記憶(Wikipedia)

・書籍
E.F.ロフタス K.ケッチャム『抑圧された記憶の神話―偽りの性的虐待の記憶をめぐって』誠信書房
E.F.ロフタス K.ケッチャム『目撃証言』岩波書店
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この記事へのコメント
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先頭と最後の数行がわかれば、中身の文は並べかえられるという意味でしょうか?
それとも先頭と最後だけで中身や読まなくても分かる??

すごく興味があります。ぜひ、詳しくお聞きしたいです!
2006年01月30日(月) 12:04 | URL | mad #EYsxjGDc[ 内容変更]

こんにちは、「知の冒険」管理人のKentiです。

人は、文章の先頭と最後の数行さえ判別できれば、センテンスの中身をランダムに入れ替えても内容を理解できるという話をきいたことがあります。

知覚の謎って面白いですよね。
2006年01月29日(日) 23:11 | URL | Kenti #vaODltoI[ 内容変更]

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